味噌汁の味
先日、とある方からメールをいただいた。
もう10年近い付き合いになる方だ。
メールを読みながら、ふと2015年のことを思い出した。
当時私は、インドネシア・ジャカルタで開催されたイベントの制作に携わっていた。
現地スタッフとのやり取り、日本から渡航する出演者の対応、進行管理。
毎日が慌ただしく、とにかく目の前の仕事をこなすのに必死だった。
イベントそのもののことは、正直あまり覚えていない。
どんなステージだったか。
どんな反省会をしたのか。
細かなことはもう曖昧だ。
ただ、いまでも鮮明に覚えていることがある。
帰国する頃、私は急性胃炎になった。
帰りの飛行機では気持ちが悪く、空いている席に横にならせてもらっていた。
機内食もほとんど食べられなかった。
そんな状態だったのに、機内で出てきた味噌汁だけは不思議なくらいおいしかった。
一口飲んで、
「ああ、日本に帰るんだな」
と思ったことを覚えている。
大げさではなく、生き返るような気持ちだった。
成田に着き、成田エクスプレスに乗る。
見慣れた景色を眺めながら、
「やっぱり日本はいいな」
と思った。
最近、過去の仕事を振り返る機会があった。
写真や資料を見返していると、当時のことをいろいろ思い出す。
大きなイベントのことよりも、帰りの飛行機で飲んだ味噌汁の味。
案外、人の記憶に残るのはそういうものなのかもしれない。
先日のメールをきっかけに、9年前のジャカルタと、あの味噌汁を思い出した。